酒は百薬の長は本当か!?

【酒は百薬の長】

古くから言われていて聞いたことのある言葉だと思います。

お酒が好きな私はこの言葉を言い訳にどれだけ飲んできたことか(^^)

 

ところがこの酒は百薬の長という言葉は嘘だ!

というお話をしてみたいと思います。

【酒は百薬の長】は酒税徴収のためのキャッチコピーだった!!

酒は百薬の長という言葉は西暦8年から20年ごろに中国を支配した「新」の王莽という皇帝が発した言葉で、その目的は酒税を創設してその消費を促し税を徴収するために作ったキャッチコピーだったというのです。

土用の鰻とかバレンタインデーのチョコレートみたいなものですね。

 

まさか!!

 

お酒を飲んだら血行が良くなって適量なら体にいいと思ってましたけど!!

といった感想を持つ方は多いのではないでしょうか。

アルコールの肉体的な健康という視点でのメリットはゼロだと言い切る方もおられるので、いつもお世話になっているインターネットでドクターが色々な健康相談に答えるサイトで聞いてみました。

 

アルコールが健康に良いことを証明した研究はありますか?

と問うたところ、ポリフェノールの抗酸化作用が注目されたことがあったが今ではそれも否定されてゼロが推奨になっているとのことでした。

 

アルコールを飲むと脳内でドーパミンやセロトニンなどの

「気持ち良くなる物質」

が分泌される薬理作用があるとのことで、それは事実なのですが

食品関連のデータには企業と検査機関の癒着も多いということで、なかなか正確な研究というものがしにくいそうです。

殆どのドクターが、アルコールと健康についてのデータはないし、飲まないなら飲まないことに越したことはない。との回答でした。

 

2022年2月現在(アルコールが健康に良いエビデンスをご存じの方はぜひ教えて下さいませ)

 

アルコールのリスク

WHOもたばこの害を減らす世界戦略がうまくいき、今度はアルコールによる健康障害のリスクを減らしていく試みを始めているそうです。

 

アルコールによる健康障害やその他生活に対する悪影響として

健康

肝障害・糖尿病・外傷・うつ病・認知症・胃腸障害・睡眠障害など

家庭

DV・ネグレクト・児童虐待・不和・別居・離婚・家族離散など

職場

勤怠問題・休職・退職・失業など

経済

貧困・生活苦・借金など

司法

飲酒運転による事故など

 

などなど、2日酔いになってアルコール飲み過ぎたなぁと思うと、健康問題が一番先に頭に浮かぶような気がしますが、過度なアルコール摂取は社会生活にも悪影響がおよぶ危険性があるということですね。

ストロング系は依存症への近道

最近は若者を中心に

「ストロング系」

と呼ばれる缶酎ハイが流行っているようですが、これらは通常の製品に比べてアルコール度数が高く、コスパが良いので人気があります。

一般的なビールのアルコールは1g当たり11.4円。

ストロング系のあるこーるは1g当たり3.6円。

同じ量のアルコールを3分の1で変えるので手っ取り早く酔いたい人にはうってつけです。

ですがその内容は「エチルアルコール+人工甘味料」という組み合わせで化学調味料をいれたアルコールという声もあります。

女性のアルコール依存症者が増えていることの一因はストロング系飲料が関わっているという声もあり、規制を望む声も上がっているそうです。

アルコールは自律神経を乱す

アルコールは胃で吸収されます。

なので、直接胃に負担をかけてしまいます。ロックやストレートなど度数の強いまま飲むと余計に傷めます。

胃が痛むとどうなるでしょうか?

胃というのは自律神経の副交感神経に支配され動いているので、胃の働きが弱くなるということは副交感神経の働きが弱くなるということです。

副交感神経の働きが弱った体は回復力が落ちますので、疲れの取れにくい体になります。

アルコールをやめて多くの人が気付くのは朝の爽快さの違いです。毎日アルコールを飲んでいる人がアルコールを抜くと、明らかに朝が楽です。それは睡眠でちゃんと体が回復してくれるから。

アルコールを飲んでいるその瞬間はドーパミンやセロトニンが分泌されて気持ち良くなって元気を回復した気になりますが、その後はアルコールを分解することに疲れたり、働くはずの副交感神経が働かず余計にしんどくなってしまうのです。

実際に当院の施術でなかなか改善しにくい方に飲酒量の多い方というのが該当することがあります。

一見腰痛や肩こり、首の痛みの改善と飲酒量というのは関係ないように思えるかもしれないですが、これが繋がっているんです。

アルコールというのは身体にとって毒物なので必ず分解して放出しなければなりません。

多量のアルコールが体内に入った場合、体は腰痛改善とアルコール除去を比べた場合、アルコール除去を優先します。腰痛で死ぬことはないですが、アルコールを解毒できなければ死にますから。

人の体の治癒力には限界があるので、その人の自然治癒力がアルコール分解に割かれ過ぎてしまうと、腰痛改善の方へエネルギーが回らないのです。

腰痛改善に必要な水分も、ビタミンも、ミネラルも、タンパク質も肝臓の方へ優先されて腰・首に財源が与えてもらえないのです。

ですので、アルコールを飲み過ぎる人は腰痛・肩こりも改善しないとはいいませんが、飲んでない人に比べて改善しにくいです。

動物は体調が悪いと食べないと言われています。

人も体調が悪い時は食べる量、飲む量を減らした方が効果的なこともあるのです。

アルコールが体内に入ると何が起こるのか?

先程も書いたように、アルコールは胃から吸収されその大部分は肝臓で処理されます。

その際にアセトアルデヒドという有害物質が発生し、酵素の働きでこれを分解して無害な酢酸に変わり排出される仕組みになっています。

 

飲酒した翌朝、何とも言えない疲れや気分の悪さを覚えることがあると思います。

二日酔いの代表的な症状は疲労感、口の渇き、嘔吐、頭痛などですが

「二日酔いとは何か?」

という定義は学術的には定まっていません。

 

ですが、その主因はアルコールの代謝物であるアセトアルデヒドだという説があります。この物質は臓器毒性が強く体内にたまると疲労のもとになります。

 

飲酒疲れを感じているなら肝臓も疲れています。肝臓が疲れると他の老廃物も処理できないためますます体は疲れやすくなります。

 

またアルコールは利尿作用が強いので、飲酒したときに意識して水分をとらないと脱水状態になり血液循環が悪くなります。すると疲労物質がたまって栄養を摂っても行き渡りにくくなるため、やはり疲労を感じます。

 

平均飲酒量が増加すると急激に肝硬変のリスクも高まることがわかっているので、一つの臓器が傷めば悪影響は全身に広がる危険性があります。

わかっちゃいるけどやめられないのはなぜか?

飲み過ぎた次の日の朝、もう二度と飲むまい!

と何度後悔したことでしょう。

と思い当たる方も多いのではないでしょうか?

 

それにしてもなぜ適量を越えてお酒を飲み過ぎてしまうのでしょう。

それは、脳にとっての魅力、報酬が投資に対して大きいからです。

 

アルコールのもたらす報酬とは「ドーパミン」です。

ドーパミンはやる気、元気、ハッピーな気分の素となる快楽物質です。

このドーパミンの分泌量が増えると

・多幸感

・心地よさ

・意欲向上

などを自覚し、薬物依存の精神依存が形成されます。

 

アルコールは少量でも効率よく報酬系でドーパミンの分泌を促します。

またセロトニンとオピオイドという神経伝達物質の分泌も増やすので、不安や心配などの、負の感情を吹き飛ばし苦痛を忘れることも出来ます。

 

ドーパミンは日常のさまざまなシーンで分泌されますが、通常

・楽しい趣味の時間

・ゲームに熱中

・恋愛でときめく

・受験で難関校に合格する

・仕事が評価されて喜ぶ

などした時によく分泌されますが、このような体験は相応の時間を投資しなければならないし、投資してもうまくいくと限りません。

 

それに比べてアルコールは

いつでもどこでも簡単に気持ちよくしてくれます!

仕事や勉強をコツコツ積み上げて得られるドーパミンをたった数分で得られるとなればついついそちらに引っ張られてしまうのです。

 

飲酒を続け、やがてドーパミンによる快感に慣れてくると、シラフで今夜いっぱいやるぞ!と思った瞬間、反射的にドーパミンが出るようになりお酒を飲めばまたドーパミンが出て「もっともっと」と勢いづいて止まらなくなってしまうのです。

 

代替物でドーパミンを補う方法

適切なドーパミン活性が維持されていることは良いことですが、それが過剰になると神経にとっては毒になります。

多量飲酒が習慣になりドーパミンがいつも出ている状態が続くと脳はその影響を減らすために神経順応という反応をします。

これは過剰なドーパミンの影響を受けにくくするためにドーパミンの分泌量や受容体の密度を低下させます。この反応を「ダウンレギュレーション」と呼びます。この状態で禁酒をするとドーパミン活性が不足し離脱症状が起きる原因の一つになります。

 

臨床的にはうつ病などの病気を合併していない限り、禁酒後に起こる意欲低下や気分の落ち込みは一過性だそうです。

その他の離脱症状も半年もすれば和らいで脳が回復してきたことを感じれるそうです。

 

禁酒している間の対策としてアルコール以外のものでドーパミンを出す方法として

・砂糖

・たばこ

・コーヒー

などがありますが、どれも依存性が高く

特に「たばこ」や「砂糖」で代用することに慣れてしまうと、それはそれで次の問題が発生する可能性が高まりますのでご注意ください。

お酒をやめるメリットとは!?

ぐっすり眠れるようになる

アルコールには鎮静作用があるため、飲むと入眠しやすくなります。

しかし、飲酒による入眠は睡眠の質は良くなりません。

 

その理由は脳が興奮する為です。

アルコールが体内で分解されるとき、有害性の高い「アセトアルデヒド」が発生しますが、この物質が交感神経への刺激作用が強く、飲み続けると脳が興奮して中途覚醒しやすくなるのです。

 

もう一つ飲酒による利尿作用も睡眠の質が悪くなる原因になります。

アルコールは抗利尿ホルモンの分泌を抑制するため、飲むとトイレに行く回数が増えそのたびに眠りが妨げられます。

 

これがアルコールを飲むと眠れるけど起きてしまう原理で、最終的には睡眠による疲労回復力は落ちてしまいます。

アルコールを飲まないと、朝の爽快感でその良さを実感されたことがある人も多いのではないでしょうか。

夕食の量と体重が減る

「毎日晩酌していたら、数カ月で5キロ太ってしまった!」

「お酒をやめたとたんみるみる痩せて、健康診断の数値も良くなった!」

これらはよく耳にする変化ですが、酒の肴は脂肪などが多い食材が多くどうしてもカロリー過多になりがちです。

 

またアルコールが入ると味覚が鈍くなるので濃い刺激が欲しくなり、こってりしたものを食べることが増えがちです。

その後〆にラーメン。などの炭水化物を食べるとあきらかにカロリーオーバーとなり、それが習慣化すれば生活習慣病のリスクもあります。

 

アルコールを控えると、アルコールを飲むために食べ過ぎていた酒の肴類が減ることで、良・質、共に健全な食生活を手に入れやすく、多量飲酒をしていた人が、10キロ、20キロとやせた事例はめずらしくないそうです。

肌の調子が良くなる

アルコールをやめる代表的なメリットの一つに、肌がわかわかしくなる。

ということがあります。

それはアルコールを飲むと活性酸素が臓器と肌に炎症を起こすからです。

 

アルコールを分解する酵素が一番多いのは肝臓ですが、他の臓器や筋肉、皮膚にもあります。血液に乗って全身に浸透したアルコールは行く先々で代謝され、その際に発生したアセトアルデヒドや活性酸素が炎症を起こし老化を早めます。

 

臓器の中で最もその影響を受けやすいのは肝臓と膵臓で、臓器障害が出れば全身の体調が悪化し肌の老化にも拍車をかけてしまいます。

 

アンチエイジングのポイントはいかに体内で活性酸素を発生させないか。

活性酸素対策としては抗酸化作用の高いビタミンCが有効とされているので意識して摂取することをお勧めします。

 

またアルコールが体に入ると利尿作用で水分がドンドン奪われ、肌も水分不足でカサカサになり肌荒れしやすくなります。

 

ビタミンB群は肌の調子を整えるのに必須の栄養素ですが、飲酒するとアルコール分解のためにビタミンB群が大量に消費されてしまうため、肌のメンテナンスが追いつかなくなります。

分解されなかった脂肪や余った脂質がニキビなどをつくるため見た目にも荒れてきます。

 

飲酒の影響で睡眠の質が落ちると疲労が取れないため、これも肌荒れに繋がります。

生活習慣病やがんのリスクが低くなる

アセトアルデヒドには発がん性があるという説もあります。

その中でも特に注意したいのが「食道がん」

さらに喫煙が重なっているとよりリスクは上がるようです。

 

さらに注意したいのが循環器系の疾患だそうです。

アルコールは脱水症状をもたらしますが、体の水分量が減ると血液の粘度が上がり、それによって動脈に血の塊ができるとあちこちが詰まりやすくなります。そうすると脳梗塞や心筋梗塞、静脈血栓、肺梗塞のリスクが高まります。

 

その他

・認知症

・うつ病

・睡眠障害

・高血圧

・不整脈

・糖尿病

・膵炎

・脂肪肝

・アルコール性肝炎

などのリスクもあります。

思考がクリアになり、時間にゆとりも出来る

アルコールをやめると朝が快適になるので、朝から元気な状態で職場に行けば作業効率はあがり、集中力も増し、仕事がテキパキこなせるでしょう。

機嫌よく人とコミュニケーションでき、食事も楽しめ、二次的なメリットもあると思われます。

 

「飲酒をやめたら時間に追われなくなり、生活にゆとりが出来た」

という喜びの声もあるそうです。

飲み会の時間や晩酌の時間がカットされると日常が変わります。

生まれた余裕時間を運動や趣味、家族との時間に使うなど、人生がより充実したものになるかもしれません。

禁酒のために続く仕組みを作る

ここまでアルコールのデメリットを書いてきましたが、ではどうやって禁酒していけばいいのでしょうか。

その方法をご紹介していきます。

宣言する

家族や友人、職場の上司や同僚などに

「これから禁酒を始めます!」

と伝え周りの人を巻き込む作戦です。

いったん言ってしまったことは引っ込みがつかなくなり、簡単にはやめづらくなりますし、家族や友人に見える化するためにつけた日記を見てもらい、共に成功を喜べると最高です。

無理のない目的と目標値を設定する

目的を明確化する。

単にお酒を減らすということだけでなく、減酒や禁酒をすることで

「生活習慣病のリスクを減らしたい」

「痩せてスッキリした体型になりたい」

「家族にこれ以上迷惑をかけたくない」

などのはっきりした目標、目的があると継続しやすくなります。

 

飲む量をどのくらいにするか。

休肝日はどのくらいにするか。

などの具体的な目標は決して無理をせず実行可能な目標を立てましょう。

先に食べてから飲み始める

お腹が減っていたりのどが渇いていたりする状態で飲み始めると、空腹を満たすためにグイグイ飲んでしまいます。

飲む前にまず食べる。

胃の大きさには限りがあるので、先に食事をとっておけばお酒が入る余地が少なくなり自然と飲酒量は減らせます。

事前に水分をとっておいたり、ゆっくり飲むようにすることも効果的です。

飲む分だけ買う

飲む前には、

「今日はこの1本だけ!」

と決めていたつもりでも、手の届くところにお酒があるとつい手がのびてしまいませんか?

買い置きしないで、その日に飲む分だけ買うようにしましょう。

 

自動車の運転など、お酒を飲んだら出来ない用事を作っておくなども効果的です。

脳は90日で学習する

禁酒生活はどのくらい続ければ定着するのでしょうか?

アルコール依存の改善に当たっておられるドクターのお話ですと、

目安として90日ほど続けると、脳がそれを学習して習慣が変わってくる

と言われています。

 

我々の整体でも、筋肉が新しい姿勢を覚えてくれるまで3カ月程を目安にして下さいとよく言いますが、やはり人が新しいことを覚えたり習慣づけたりする一つの目安として3カ月というのは妥当な期間なんですね。

 

禁酒する場合、もっともつらいのは離脱症状の出る最初の2週間だそうです。しかし2週間を超えると多くの場合で体調が良くなり、肌質が良くなるなどの効果が出てきます。

まとめ

ここまでアルコールを飲むことの危険性と、やめることのメリットを書いてきましたがいかがでしたでしょうか?

 

筆者自身も若い頃は毎日飲んでいましたが、年齢とともに飲めなくなっていき、「年をとったなぁ」と寂しく思っていましたが、

最近ではアルコールを控えることで体調が良くなることに喜びを感じています。

 

この記事を書いている2022年2月現在ではまだ禁酒とまではいっておらず、週に1回程と減酒している状況ですが、それでも以前と比べて随分飲酒量が減って疲れにくくなっています。

 

整体鍼灸院を運営する中で、

明らかにアルコール量が多すぎて腰痛・肩こりの回復が遅い方をたくさん見てきています

ので、アルコールの好きな人に禁酒を勧めるまでは言いませんが、減酒はぜひお勧めしたいと思います。

 

あなたの健康と、あなたの大切な人のために。

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