季節の変わり目や日々の忙しさから、最近は不眠症や動悸、息苦しさといった「自律神経の乱れ」による不調を訴えて来院される方が増えています。
「夜なかなか寝付けない」
「布団に入っても頭が冴えてしまう」
「ふとした瞬間に胸がドキドキする」
といった症状は、病院の検査でも原因が特定されにくく、不安を抱えている方も少なくありません。
こうした自律神経の乱れに対して施術を行う際、意外な部位から劇的に改善していくケースがよくあります。
その意外なポイントの一つが、「膝」です。
頭に熱がこもる「上実下虚(じょうじつかきょ)」
自律神経が乱れている方の体を細かく観察していくと、多くの場合、エネルギーや血流、いわゆる「気」の流れが頭部や上半身に過剰に集中しています。
PCやスマホの長時間使用、仕事のストレス、考え事の多さなどが重なると、頭ばかりを使い続けることになります。
すると脳が常に興奮状態(交感神経優位)になり、血流や熱が頭部に集まって「のぼせ」や強い緊張を引き起こします。
東洋医学ではこの状態を「上実下虚(じょうじつかきょ)」と呼びます。
上半身や頭にはエネルギーがパンパンに詰まっている一方で、下半身は冷えて巡りが滞り、スカスカになっている状態です。このバランスの崩れこそが、動悸や頭痛、不眠といったトラブルを引き起こす大きな要因です。
なぜ「膝」をほぐすと頭が落ち着くのか
そこで重要になるのが、頭部に溜まった血流やエネルギーをいかに下半身へと引き下ろすかという点です。
下肢の血流をコントロールする要所の一つが「膝の裏や周囲の血管・筋肉」です。
膝まわりのこわばりや血管の緊張を丁寧に緩めてあげると、せき止められていたダムが開くように、下方への巡りが一気にスムーズになります。
膝の血管が緩んで下半身へ血液がしっかり流れるようになると、頭に血が上って過熱していた状態がスッと冷まされ、全身の巡りが本来の循環を取り戻します。
施術を受けた患者さんからは、
「脚が急にポカポカしてきた」
「頭のモヤモヤが晴れて、急に眠気がきた」
「胸の圧迫感が消えて呼吸が深くなった」
といった声をよくいただきます。
不調が出ている場所(頭や胸)だけをみるのではなく、体全体の巡りやバランスを整えていくと、全く関係なさそうに見える場所から症状がスッと抜けていくことがあります。人の体はすべてつながっていて、本当に不思議で面白いものです。
原因のわからない不眠や動悸でお困りの方は、頭だけでなく「足元の巡り」にも目を向けてみてください。

著者紹介 江尻俊
1997年業界入り、大阪府池田市にてエジリカイロプラクティックさかえ鍼灸院を2008年に開業。カイロプラクティック・オステオパシーを学ぶところから始め、その後鍼灸、その他の施術法を数多く学び、現在では、体・心・栄養のすべてからアプローチする独自の施術を確立し、自身が自然療法で救われた経験を原点に、お子様からご高齢の方まで、一人ひとりの不調をサポートし続けている。


