オスグッドは成長痛ではなく、フォームの崩れからくるケガです。
簡単に説明すると、疲労や心理的ストレスなどによって無意識レベルで股関節から下肢が開いて(外旋)しまい、筋肉がそれを元に戻そうとすることで過緊張が起こり、膝の下(脛骨粗面)を引っ張る事でオスグッドを発症します。
すなわち最大の要因は股関節から下肢の外旋なのです!
何故サッカー選手にオスグットが多いのか!?
サッカーで最も股関節から下肢を開く(外旋する)というシーンは「インサイドキック」です。
軸足を蹴りたい方向へ向けてボールの真横に置き、蹴り足のつま先を外に向けたまま振り上げ、そのまま押し出す(日本式インサイドと呼ぶ)キックで最も股関節が外旋し、負担が大きくなります。(ゴルフのパターのような形)
これがサッカー選手にオスグットで悩む方が多い理由です!
この日本式インサイドで指導されてきた方、指導している指導者の方もまだ多いかと思います。
ちなみにJリーガーや日本代表の選手でもまだ日本式インサイドを使っている方も多数います。
しかし実はこのインサイドキックは股関節が開くことで、足の小指側に重心がかかる様になり、
オスグッドはもちろん、捻挫(内反)やグロインペイン症候群、かかとの痛みといった様々な弊害をもたらす可能性があります。
この蹴り方を改善する事で、股関節の開きの改善はもちろん、プレーの質・精度も上がります。
膝に負担をかけにくいインサイドキックとは
膝に負担をかけにくい蹴り方と言えるのがバルセロナとスペイン代表です。
これらのチームの共通点はポゼッションサッカーをベースにしている点です。
ではポゼッションサッカーのベースとは何でしょうか?
それは「蹴る」と「止める」です。
この「蹴る」のベースであるインサイドキックの基本が徹底されているのが上記の2つのチームです。
日本でも小学生のチームからJリーグまで、下火になりつつあるといえど、ポゼッションサッカーを目指しているチームは少なくないと思います。
日本式インサイトキックとスペインのそれと、何が違うのか?
日本式インサイドの場合、強く蹴ろうとすればするほど、蹴り終わりに骨盤が後傾し、重心が後ろになり、身体が開いてしまいます。
この股関節から下肢の開き(外旋)を身体が膝を守ろうと筋肉を過緊張させてしまう事で、オスグッドを誘発します。
対してスペインなどのインサイドキックは股関節の外旋も足首の外旋もしないまま蹴り足を振り上げます。(インステップと同じ)
そしてインパクトの前に蹴り足のつま先を外へ向けて足首の内側で蹴ります。
このインサイドキックは強く蹴る場合でもフォームは変わらず、骨盤が後傾せずに、
身体の開き(外旋)はほぼ起こらないので、かなり「膝の負担」は軽減されます。
膝の負担が減るだけでない副産物も
この蹴り方だとさらに膝の負担を減らすだけでなく
パススピードも向上しとパスコースも読みにくくなります。
日本式インサイドは股関節から足首を固定して振り子のように蹴り出すのでパススピードにも限界があり、軸足の向きでパスコースを読む事が容易になり、力一杯蹴ろうとすると体幹にブレが出て次の動作へすぐに移れません。
対してスペインなどのインサイドキックは股関節の外旋も足首の外旋もしないまま蹴り足を振り上げます。(インステップと同じ)
そしてインパクトの前に蹴り足のつま先を外へ向けて足首の内側で蹴ります。
この蹴り方だと股関節・膝にかかる負担が少なく、蹴る前から蹴り終わりまで体幹のブレがほぼ出ないので、次の動作へもスムーズに行えます。
さらには蹴り出しがインステップと同じなので、ディフェンス側はコースが読みにくくなり、パススピードも向上します。
スペインの選手はどちらかといえば、日本人のように小柄な選手が多いです。
大柄な選手に囲まれても怪我をあまりしないでプレー出来るのは、姿勢(骨盤を立てている)のおかげと言われていますが、この蹴り方も要因の一つと思われます。
まとめ
サッカーでのオスグッドの改善と予防、再発防止には「膝の負荷のかからないインサイドキック」を身につける事も必要です。