自律神経はホルモンバランスに左右される!女性に多い不調を解説

自律神経失調症は女性に多い疾患とされています。

女性ホルモンのバランスが自律神経の状態に関係しており、ホルモンバランスが崩れると、自律神経にも悪影響を与えてしまうからです。

ここでは、自律神経と女性ホルモンの関係やホルモンバランスが乱れる原因と、その対処法についてご説明していきます。

女性の方がホルモンバランスを乱しやすいのは何故か?

女性ホルモンを分泌する命令を出す中枢は脳の視床下部です。視床下部はホルモン分泌の司令塔になるのですが、それと同時に視床下部は自律神経の司令塔でもあります。

ですので自律神経が乱れて視床下部に負担がかかるとその機能が落ち、結果ホルモン分泌に影響する。

ホルモンバランスが乱れても視床下部に負担がかかりその機能が落ちた結果、自律神経の調整も乱れる。

このようにホルモン分泌と自律神経は命令中枢が同じなため、影響を与えやすいといった相関関係があるのです。

生理、妊娠、閉経といった現象のある女性は男性に比べてホルモン分泌の変化が激しい。ですので女性の方がバランスを乱しやすいのです。

自律神経に関わる女性ホルモンは

女性ホルモンは、大きく分けて2種類あります。「卵胞ホルモン」と呼ばれるエストロゲンと「黄体ホルモン」と呼ばれるプロゲステロンです。それぞれの働きについて、ご紹介します。

エストロゲン

エストロゲンは卵子が育つ場所である「卵胞」から分泌されるホルモンで、卵子の生育を促す働きがあります。

頭髪の成長力をアップさせたり、バストを大きくしたりするなど、女性らしい体を作るための働きを持っています。

一般的に女性ホルモンというと、エストロゲンのことを指すことが多いようです。

プロゲステロン

プロゲステロンは卵子が排出されたあとにできる「黄体」と呼ばれる器官から分泌されるホルモンです。

子宮内膜を分厚くしたり、体温を上げたりするなど、妊娠を維持しやすい体を作る働きを持っています。

月経から排卵までのエストロゲンの働きが強い時期にはプロゲステロンの働きは弱くなり、排卵後のプロゲステロンの働きが強くなる時期にはエストロゲンの働きが弱くなるという特徴があります。

ホルモンバランスが崩れると起こる不調

自律神経失調症の症状には、

・慢性的な疲労感

・不眠

・動悸

・耳鳴り

・胃腸の不調

などの身体的症状と、

 

・感情の起伏が激しくなった

・落ち込みやすい

・情緒不安定で不安感がある

といった精神的症状があります。

 

これらの不調を感じている方の多くは、自律神経失調症状だけでなく他の不調も抱えていることが多いのが事実。

女性ホルモンのバランスの悪さは自律神経失調症だけではなく、下記のようなPMS(月経前症候群)や更年期障害生理不順不妊といった女性特有の不調にもつながります。

PMSや生理痛・生理不順

PMSの原因はエストロゲンやプロゲステロンの受容体の感度のほか、女性ホルモンのバランスも影響しています。

女性ホルモンのバランスが悪く、プロゲステロンの働きが強くなりすぎると、PMSになりやすいとされています。

生理痛は、子宮から分泌されるプロスタグランジンの量が多すぎることも原因です。

このプロスタグランジンは女性ホルモンのバランスが悪いときに増えるとされています。

初潮からしばらくは生理痛が強いされており、これはホルモンバランスが不安定だからです。

更年期障害

加齢による卵巣の機能低下でエストロゲンの分泌量が減少し、ホルモンバランスが崩れて起きるのが更年期障害です。

卵巣そのものの細胞が衰えてしまうため、視床下部が命令を出しても女性ホルモンが増えません。最終的には、視床下部の疲労によって自律神経のバランスが崩れ、心身に悪影響が出ます。

不妊

エストロゲンが不足すると卵子が育たず、無排卵月経が起きる可能性があります。逆にプロゲステロンが不足すれば子宮内膜が育ちにくくなり、受精卵ができても着床しづらい状態に。いずれの問題が起きても、不妊の原因となります。

ホルモンバランスが崩れる原因

ホルモンバランスが崩れる原因はやはり生活習慣が大きいです。

  • 睡眠不足
  • ストレス
  • 加齢
  • バランスの悪い食事
  • 過剰なダイエット

など。

ホルモンバランスを整えるために

ホルモンバランスを整えるためには生活習慣の見直し、食生活の改善、ストレスの緩和、適度な運動が効果的です。それでも十分な成果が出ない場合には、専門家に相談しましょう。

生活習慣を見直す

女性ホルモンの分泌を司る視床下部はデリケートな部位です。

睡眠不足や疲労などによる悪影響がホルモンバランスの悪化につながる可能性も。

普段から寝不足になっていないか、規則正しい生活ができているかなど、生活習慣を見直してみましょう。

日付が変わる前に寝るというのはやはり非常に大事な要素です。

食事に気をつける

食事の中で意外なのは、脂肪分を摂取する必要があること。これは女性ホルモンが脂肪を原料としているためで、分泌量を増やすためには脂質が欠かせないからです。ホルモンバランスがプロゲステロン側に傾いているときは、便秘になりやすいという問題もあります。食物繊維を摂取するなどして、便秘解消に努めていきましょう。

 

加齢が原因で起こるホルモンバランスの乱れは、ホルモンの分泌量を増やすことが難しいという問題も。大豆イソフラボンなど、女性ホルモンに似た働きをする成分を摂取すると、ホルモンバランスを整える効果が期待できます。

ストレスをためない

ストレスによって視床下部が疲労すると、ホルモンバランスが乱れる原因となります。たとえ仕事が忙しくても、適度に休憩を取って深呼吸をするなど、ストレス緩和に努めていきましょう。

わかってるけどそれが出来ないんだよ~~!

という声が聞こえてきそうですが、やはり人生を生き切るにはストレスコントロールを身に着けたいですよね。

軽い運動やストレッチをする

自律神経には交感神経副交感神経があり、ストレスによって活発になるのは交感神経です。

ストレスを受け続けると交感神経が優位になり、自律神経のバランスが崩れる原因になります。

軽い運動やストレッチを行って血流が良くなると副交感神経が働きやすくなります。

競技性が出て勝負の世界が出てくるスポーツは逆にストレスの元となる場合がありますが、軽い運動は自律神経を整えるには効果的です。

専門家に相談する

更年期障害のように、生活習慣の改善だけでは十分な効果が期待できないホルモンバランスの乱れというものもあります。

消化管をはじめ内臓などの病気や、身体の歪みや緊張などでホルモンバランスが乱れている可能性もあるので、専門家に相談してみてはいかがでしょうか?

自分の力だけでは無理でも専門家ならではの対処法で、症状が改善する可能性があります。

薬に頼らずとも不調を解消できるカギがあるかもしれません。

まとめ

2つの女性ホルモンと自律神経には、密接な関係があることがわかっていただけましたでしょうか。

ホルモンバランスが乱れたままでは、PMSや不妊をはじめとするさまざまなデメリットが起こります。

自律神経の乱れによる不調を感じたらご紹介した対処法を試してみて、それでもダメなら早めにご来院されることをお勧めします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加