ジョーンズ骨折(第5中足骨疲労骨折)
疲労骨折とは?
疲労骨折は一度に強い圧力・衝撃が加わって起こる通常の骨折とは違います。
毎日のトレーニングでの疲労や地面の硬さ、靴などの不具合などによって蓄積されたものが骨を脆くしてしまい、軽い捻挫や軽い衝撃によって骨折します。
初期では痛みを感じない場合も多く、完全に折れてから痛みが出て、気付く事もあります。
サッカーにおいては、第5中足骨(足の甲の一番外側にある骨)の疲労骨折が好発します。
ジョーンズ骨折と呼ばれ、中足骨の基部が折れた場合、この部分は血行が他の部分に比べて少ないので、骨癒合がしにくく、治りが悪い骨折です。
さらに再発率が高い事も特徴です。
サッカー、ラグビー、バスケットボールなどの切り返し動作を繰り返し行う事の多いスポーツの競技選手に良く発生しますが、一つの原因があるわけではなく、様々な要因が重なって起こると考えられています。
欧米と比べて、日本人に多い疾患です。
病院での対応
レントゲン撮影により、ジョーンズ骨折と診断された場合、保存療法か手術療法の選択になります。
通常、疲労骨折というのは、安静で治癒します。
患部を押しても、軽く叩いても痛みが無く、下肢でしたらジャンプをしても痛みがないという状態まで回復すれば、競技への復帰が可能です。
しかしジョーンズ骨折は再発が多く、再発防止目的で手術療法が選択されることも少なくありません。
手術では、スクリューにて骨を固定し、治癒を促します。
復帰までは個人差がありますが、6週でジョギングを開始し、競技復帰までは2.3カ月要します。
骨盤剥離(裂離)骨折
剥離骨折とは?
剥離骨折とは、スポーツや交通事故などで、骨に付着している腱・靭帯に急激なストレスがかかって骨を引っ張ってしまい、剥がれてしまうという骨折です。
正式には裂離といいますが、剥離とも言われます。
急激な力が加わって、生じるため、踵や骨盤や膝などの強靭な腱・靭帯が付着している部位で好発します。
骨折部分では痛み・腫れ・皮下出血が出現し、部位によっては歩王困難や感覚障害を生じます。
サッカーにおいては骨盤剥離骨折が起こりますが、骨が弱い成長期に生じやすく、痛みを訴えた場合は注意が必要です。
キックやストップ&ゴーを繰り返すサッカーでは、骨盤の上前腸骨棘・下前腸骨棘という大腿筋膜張筋や縫工筋、大腿直筋などの太ももの筋肉が付着する部分(足の付け根の前面)で起こります。
キックでは下前腸骨棘、ダッシュでは上前腸骨棘で好発します。
病院での対応
主に保存的療法が選択され、まずは安静、アイシング(約1週間)を徹底します。
疼痛が緩和してきて歩行時痛が消失したら、歩行を開始します。(受傷後2~3週)
レントゲン上で骨の癒合が確認できれば、ランニングを開始します。(2~3ヵ月)
保存療法では癒合が難しい場合は手術療法を行います。
手術は骨片をスクリューなどで整復固定をします。
個人差はありますが、手術療法の場合でも競技復帰まではおよそ3か月を要します。
骨折にはやはり休養が必要
疲労骨折・剥離骨折は共にオーバーユース症候群と言われるものです。
オーバーユースとはいわゆる「使い過ぎ」です。
骨が出来上がっていない成長期に良く起こりますが、欧米と比べても日本人の方がかなり多いようです。
それはなぜでしょうか?
単純に練習量の差によるものが多いです。
欧米では、多くは成長期に極限まで追い込むような練習やトレーニングは行いません。
しかし極限まで追い込む練習をしても発症する人としない人がいるのは何故しょうか?
栄養不足(カルシウム等)、準備運動不足、身体が硬い、筋力不足など様々な原因が挙げられていますが、フォームの乱れが大きな原因になります。
人間は疲労してくると、顎が上がり、猫背になり、膝が開きます。
このいわゆる骨盤後傾位でのダッシュやステップ、キックを繰り返すと身体への負担が強くなり、様々な弊害をもたらします。
骨盤が後傾するため、股関節が伸展し、蹴り出しが弱くなります。
そこで無理をすると骨盤(上・下前腸骨棘)に負担がかかり、骨盤剥離骨折の原因にもなります。
膝が開いてくると、足の小指の方に重心がかかるようになり、足の甲の外側にストレスが加わり、ジョーンズ骨折の原因にもなります。
なので、どんな状況下でも常に正しいフォームで動けるようにトレーニングすることが疲労骨折・剥離骨折の予防や再発防止のためには重要になってきます。
まずは歩行時・ジョギング時にしっかり足の親指で地面を捉えて蹴ることが無意識でもできるようにトレーニングしていきましょう!