腰椎ヘルニアとは

腰の骨と骨の間にある 椎間板の一部が「飛び出している状態」になっていることを言います。

「ヘルニア(hernia)」とは、「本来あるべき場所から飛び出す状態」を指す言葉です。

椎間板の髄核が飛び出すことで、その先にある「神経」にぶつかってしまい、「神経」がうまく働けなくなることで痛みが発生したり、しびれがおきたり、力が入らなくなったりします。

腰椎ヘルニアとはどんな状態かというと

ヒトの腰の骨は5つあります。
上から 第一腰椎 第二腰椎 第三腰椎 第4腰椎 第五腰椎とよびます。
これら5つの骨は積み重なっていて、それぞれの骨の間でクッションの役割をしている「椎間板」でつながっています。

「椎間板」は脊柱にかかる外からの衝撃を吸収・緩衝したりと動きの支点になる大切な働きをしています。

この椎間板の繊維輪が弱くなって全体として膨隆したり、繊維輪に亀裂が入り、その亀裂から髄核組織が「ヘルニア(脱出)」したものが椎間板ヘルニアです。

そして、この椎間板ヘルニアが 脊柱管内に通っている神経を圧迫して痛みや 様々な神経症状を起こしてしまうことが一番の問題になるのです。

痛みとして感じるのは、ヘルニアが靭帯や神経を圧迫することで炎症がおこり、その炎症によって痛みを感じるとされています。

神経には運動神経と知覚神経があるので、圧迫されると症状として筋肉の動きにくさや 知覚麻痺といった症状が発生します。

多くは、腰痛、お尻の痛み、お尻から太もも、ふくらはぎ、足首までの痛みやしびれ、足に力が入らない 足の触感が鈍くなったりという症状が出ます。

ヘルニアは若い世代に多い

腰椎ヘルニアは20代から50歳代に多いと言われています。腰を動かすことの多い若い年齢から発症することがあります。

その内 男性は女性の2倍の頻度でみられます。

また、椎間板ヘルニアの原因となる 椎間板の変性は年齢が高くなるほど多くなるものですが若い時に椎間板が変性をしてしまうと、椎間板ヘルニアを発症しやすくなります。

理由は椎間板ヘルニアは可動性の高い脊椎の部分で起こりやすく、高齢になると可動性が減少する為、たとえ変性があったとしても発症することが少なくなりますが、若い年齢だと動くことが多いので、変性により発症する率が高いと考えられています。

ヘルニアは5つある腰椎のうち、上から4番目と5番目の間もしくは5番目と仙骨の間で、ヘルニアができやすく、ヘルニアができた場所によって痛みやしびれの場所が変わることもあります。

ヘルニアのタイプ

ヘルニアは大きく分けて2つタイプがあります。

〇膨隆型ヘルニア・・繊維輪に亀裂が無く 髄核は繊維輪から飛び出していない。髄核と繊維輪が一緒に膨れている。椎間板が膨らんでいる状態

〇脱出型ヘルニア・・繊維輪に亀裂が入り、髄核が繊維輪を飛び出している状態。このうち脱出型には
・靭帯下・髄核は繊維輪を飛び出しているが、靭帯の内側にある
・靭帯穿破・髄核が靭帯を突き破っている
・遊離型・髄核が靭帯を突き破った後、更に離れたところへ移動している

 

靭帯を破った脱出靭帯穿破や遊離型は ヘルニアは自然退縮することが多いです。

 

一般にはヘルニアは 膨隆方から脱出へ、そして遊離型へと進行します。
また、他に異なるタイプがあります。

 

〇シュモール結節・・椎間板が背骨(椎体)を突き破り、骨折させてしまうような形になります。この場合は神経圧迫が無いので坐骨神経痛にはなりません。

 

タイプによる症状では
1・ヘルニアが靭帯を破っていない間は 腰やお尻の痛みが多いです。ぎっくり腰のような急で激しい痛みの場合もあります。

2・靭帯を破ると 腰痛より強く足の痛みを感じます。太もも、足の裏、下肢のしびれ

3・脱出が激しくなり、神経への圧迫が大きくなると 筋力低下、歩行障害が出ます。

4・進行すると、膀胱直腸障害が出ることがあり、その場合は緊急手術が検討されます。
ヘルニアの発症する部位によっても症状が異なります。

 

一般的には腰椎4番と5番の間にと 腰椎5番と仙骨の間にヘルニアができることが多いです。

 

腰椎4番5番の間のヘルニアの場合
お尻から太もも・ひざの下への痛み。足の親指に力が入らない場合や 足首が上がらないこともあります。

 

腰椎5番と仙骨の間のヘルニアの場合
太ももの裏、ふくらはぎ、足の小指までの痛みやしびれ。つま先立ちができなくなります。

 

腰椎2番より下で馬尾神経をヘルニアが圧迫した場合
足の筋力低下、腱反射の低下、知覚の鈍化、間欠跛行、排尿排便障害などが出ます。

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